「英語を話せるようになる近道は、ネイティブの恋人を作ることだ。」
こんなことを耳にしたことありませんか?
たしかに、気兼ねなく話せるパートナーができれば、会話量も増えるし、パートナーの話なら真剣に聞こうとするのでリスニング力も向上し、英語力は格段に伸びます。
でも、ネイティブの恋人を作るってハードル高すぎません?ってかネイティブの恋人ができる状態ってもうかなりの英語力が身についているはずですよね。
恋人が無理なら、ネイティブの友達と話すのが次に効率がいい英会話上達方法だと言う人もいるかもしれません。しかし、ネイティブの友達と話して英会話力を向上させるという方法には致命的な欠陥があります。(後ほど詳しく説明します。)
小学生から英語教育が義務化されているにも関わらず、英語を話せる人が本当に少ない日本。2021年時点で、世界英語ランキングは112ヵ国中78位です。この背景には何があるんでしょうか?
その答えを知るには、ヨーロッパになぜ英語が堪能な人が多いのかについて知る必要があります。
ヨーロッパに英語が堪能な人が多い理由
なぜ日本人が英語教育を何年も受けているのにもかかわらず、英語が話せないんでしょうか?
その答えを知るために、まずは実際にヨーロッパの人のコメントを見てみましょう。その次に、ヨーロッパ人が英語が堪能な理由についての科学的見解を言語学にまつわる研究を見ながら、紹介していきます。
ヨーロッパの人の実際の意見
要約
この方は、英語を学ぶことは非常に難しく、彼にとって英語はアメリカ人にとっての中国語やロシア語と同じくらい難しいものだったと述べています。英語はスラブ系の言語とは非常に異なり、彼が10歳頃から学び始め、17歳になるまで十分なコミュニケーションができるようになるまで時間がかかったと語っています。
そして、なぜ多くのヨーロッパ人が英語を話すのかについて、いくつかの理由が組み合わさっていると述べています。
- 英語は彼らの周りにあるあらゆる場所で使われており、ハリウッド映画、音楽、テクノロジー(特にコンピュータ、ソフトウェア、コンピュータゲーム)が英語であることが影響していると指摘しています。
- ヨーロッパは言語が多様であり、共通の言語として英語が採用されており、他のヨーロッパ人とのコミュニケーションにも英語が使われているため、英語を学ぶことが重要だと説明しています。
- 政治的な理由からドイツ語やロシア語が不人気であることを指摘し、英語はアメリカとイギリスとの歴史的なつながりから好まれていると述べています。
要約
ヨーロッパの母国語話者が英語に堪能であるかどうかは、簡単なものではなく、むしろ露出、態度、興味に関連しています。ヨーロッパの多くの国では、特に人口が比較的少ない国(オランダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど)では、外国の映画(国際的な映画は米国が主導)は吹き替えではなく字幕付きで公開され、特に小さな子供向けの制作物を除いています。
さらに、相対的な市場の規模が小さいため、これらの言語への翻訳からはあまり収益が期待できないことから、これらの言語のネイティブスピーカーは、翻訳を待つよりも科学、経済、およびその他の専門的な文献を直接英語で消費することが一般的です。
さらに、多くのヨーロッパ諸国では外国語教育が高校2年間に限定されていないため、米国のように遅すぎず、十分でない言語教育が行われています。これは私が生徒だった11〜12歳の頃から始まり、現在ではほとんどの生徒が9〜10歳から、または最初の学年から始まるようになりました。
最後に、若者たちは英語に興味を持っています。学校で英語を学ぶだけでなく、英語の音楽を聴いたり、英語でゲームをプレイしたり(RPGなど)、学校を卒業した後に英語圏の国を訪れたり、16〜17歳の生徒として半年や1学年を英語圏の国で過ごしたりします。
要約
主な理由は2つあります。まず、長い間学校で第二言語として教えられています。ポーランドでは、学校では一般的に英語が教えられ、多くの学校は第三言語(主にドイツ語またはロシア語)を提供し、一部の学校(私の学校のようなものもあり)はさらに第四言語を提供しています(私の場合はフランス語、スペイン語、ロシア語から選択できました)。
多くの人にとって、特に若い人(30歳以下)の場合、英語は非常に若い頃から学校で必修科目でした。人々ができるだけ若い時期に言語を学ぶと、それが最も簡単に身につくと考えられています。
もう一つの理由は、英語が一般的に非常にシンプルな言語であることです。変化(declination)がなく、名詞には性別がなく、他の言語と比較して動詞の活用がほとんどなく、時制も理解しやすいです。特にわずかな間違いでも理解可能であるため、英語は非常に多くの人にとって(大人として学び始めた人を除く)比較的簡単に学べる言語となっています。
この3人が言っている中で共通していることは、英語に触れている時間が長いということです。
映画やドラマなど日常的な娯楽の中に英語が存在していて、コミュニケーションをとるときも英語を使うことが多いみたいです。
それに比べて日本では、日常的に英語を使う場面は少ないです。外国人が少ないため、日本語を話していれば困ることがないのも、こういった状況を作る要因の1つになっています。
では次に研究を見ていきましょう。
研究
英語に触れる時間を増やすことが、英語力を伸ばすことを示す研究がたくさんあります。
Krashen’s Input Hypothesis
スティーブン・クラッシェンは、第二言語習得において言語インプット(聞く・読む)の役割を強調しています。
彼の「Input Hypothesis」では、学習者は理解できる言語入力を多く受けることで、自然な形で言語を獲得することができると言っています。
Frequency of Exposure
外国語の学習において、言語に頻繁に触れることが重要であるとする研究も存在します。
頻繁な言語接触により、単語や表現が覚えやすくなり、スキルの向上が期待されます。
Immersion Programs
外国語に触れる環境が言語習得に与える影響を調査した研究では、言語浸漬プログラム(例:留学プログラム)に参加することで、言語スキルが向上することが観察されています。
Language Exposure and Brain Plasticity
脳の可塑性に関する研究では、外国語に頻繁に触れることが脳の言語領域の発展に関与している可能性が示されています。
様々な研究からもわかるように、英語力向上のためには日常的に英語に触れる習慣を身に着けることが肝心です。
日本の英語教育の問題点
英語力向上のために必要なのは、英語に触れている時間を長くするということがわかりました。
でも、日本では、小学校が英語教育が義務化されているため、結構な時間を英語に費やしています。それでも、日本人が英語を喋れないのはなぜなんでしょうか?
パッシブラーニングである
日本の英語教育における主な問題点の一つは、授業形態が基本的にパッシブラーニングであることです。
パッシブラーニングとは、生徒が主にリスニングとリーディングに焦点を当て、授業を受け身で受けることです。しかし、この授業形態にはいくつか問題があります。
まず第一に、パッシブラーニングにおいて生徒はコミュニケーションスキルが身に付きにくいです。スピーキングやライティングなどのアクティブなスキルが不足するため、生徒は実際に英語をしゃべることができなくなります。
また、アウトプットする機会が少なくなるのも深刻な問題です。人間はアウトプットすることにより能力や記憶を定着させます。インプットが主体の日本の英語教育において、英語スキルが身に付きにくいのは仕方ありません。
世界英語ランキングが上位の国々では、アクティブな英語教育が主流になっています。
英語に触れる時間が少ない
日本人が英語を習得するには、母国語である日本語とは異なる言語構造や文化的背景の差異があるため、通常2,000~3,000時間の学習が必要とされています。
ところが、現在の英語教育では、小・中学校の英語授業時間が350時間、高校では標準で87.5時間となっており、これは英語を習得を習得するには、全く足りていません。
日本で英語を習得するには、学校以外での英語学習に積極的に取り組む必要があります。
受験用の授業
日本では、英語教育は試験のためのものという認識が一般的です。入試では主に読み書きが重要視され、その結果、授業は文法や受験テクニックに焦点を当てる傾向があります。
英語は試験のスコアを上げるために必要なものと見なされ、コミュニケーションのツールとして英語を勉強するという意識が低いのが問題です。その結果、受験が終わると英語に対する興味が薄れる生徒が増えています。
この状況では、英語を自在に操り、国際舞台で活躍できる人材を育てるのが難しいと言わざるを得ません。日本人の英語能力のランキングが低い結果も、こういった理由が背景にあります。
英語を日常的に使うのが一番近道
ここまでで、英語を日常的に使うのが英語をしゃべれるようになる一番の近道であることがわかりました。
ヨーロッパの英語が堪能な国々では、日常的に英語に触れることができ、アウトプットしやすい環境にあります。
日本でも同じように英語を話せるような環境があれば最高ですが、私たちの身の回りにある使えるツールは英会話ツールやAIのイングリッシュボットで、ヨーロッパの国のように気軽に英語を話せる環境ではありません。
そこで、私がおすすめするのは、日本人同士で英語を話すという方法です。
日本人同士で英語を話す方がネイティブと話すよりもいい3つの理由
普段から英語を話す習慣をつけるのに最も最適なのが、日本人同士で英語を話すという方法です
日本人同士で英語を話すことには、次のようなメリットがあります。
言語能力の差を感じないから話しやすい
言語能力の差を感じてしまうと、英語を話す機会を失ってしまうことは多々あります。
私が、アメリカに留学していた際に、アメリカ人の友達と恋バナをしていた時の話です。アメリカ人の友達は、彼の好きなタイプや、付き合うときのこだわりの部分をつらつら話していました。もちろん、私にもタイプはあるんですが、日本語で説明するときみたいに、ピンポイントで説明することができませんでした。
そこからというのも、自分の言語能力の乏しさに、悔しさを感じながら、あとはアメリカの友達の話を一方的に聞くだけでした(これもこれで楽しかったですよ(笑))。
おそらく海外で生活をしたことがある人は共感してくれると思いますが、言語能力の差を感じてしまって、会話から一歩引いてしまい、聞くのに徹することが多々あります。
ちなみに、ある研究(英語教育学の分野)では、言語能力が高い学習者がクラス内で積極的に発言し、対話の進行に影響を与えることが示されています。
その点、日本人同士で話すと、お互いの英語力が似たようなものなので、平等に話す機会を作ることができます。
友達と会う頻度が高いから
日本人同士で英語を話すことは英語力向上に効果的です。その理由の一つは、友達同士で高頻度で会話を行える点にあります。
例えば、友達とのランチやカフェでの集まり、趣味について英語で話すことができます。友達となら気軽によく集まることができるので、スピーキングを向上させることができます。
友達同士で英語を使うことは、学習者にとってプレッシャーが少なく、自然なコミュニケーションが生まれやすい環境をつくります。こうやって英語を実際に使うことで、かなり英語力を向上させることができます。
わからないことは日本語で聞ける
わからないことがあれば日本語で質問できるというのも日本人同士で英語を話す英語力向上に効果的な理由の一つです。
日本人同士で会話を続けることにより、自分がわかっていないことが明確になるのもメリットの一つです。
実際に、私もアメリカで日本人の友達と一週間英語縛り生活をしました。自分がわからないことを日本語で教えてもらえるので、英語で説明されるより、もっと具体的に理解することができます。
このように日本人同士で英語を話すことには様々なメリットがあります。しかし、よく質問されるのが、日本人同士で英語を話すの恥ずかしいんですけどどうすればいいですか?です。
日本人同士で英語を話すのが恥ずかしい
日本人同士で英語を話すのが恥ずかしくても、慣れてしまえば恥ずかしくなくなります。
私が通っていた大学でも、授業中は日本人同士で英語を話さないといけませんでした。最初は、めちゃくちゃ恥ずかしかったんですが、慣れてしまえばそれが普通になりました。
曝露療法でも同じようなことが言われています。曝露療法とはある恐れや不安に直面することで、それに慣れることを目的とした心理療法の手法です。
この概念からもわかるように、言語やコミュニケーションに対する不安や恥ずかしさも、実際に経験を積むことで軽減されていきます。
英会話力を向上させる5つの方法
最後に、日本人同士で英語を話す方法以外の英会話力を向上させる方法を紹介します。
独り言
英語を独り言のようにぶつぶつ話すのも効果的です。
自分で話すトピックを決めて、それについてひたすらぶつぶつ独り言を繰り返します。私は、職場に向かうときや家に帰るときにずっと英語を話すようにしています。
独り言だと、友達と話す恥ずかしさがないので、まずはある程度独り言で英会話力を上げてから、友達と英語で話すこともできます。
単語を覚える
単語を覚えて、基礎的な英語力を伸ばすことはやはり大事です。
単語を覚えるのにも、能動的、つまりアウトプットが非常に大事です。その際に、私がおすすめするツールはAnkiです。AnkiはPCであれば無料で使うことができます。
Ankiは、人間の反復学習に最適なタイミングで、自分で作った問題を解くことができます。効率よく英単語を身に着ける最強のツールです。
文法をマスターする
単語と同じく、文法をマスターして基礎的な英語力を伸ばします。
これもAnkiをつかって最速で身につけましょう。Ankiはまじで最強のツールです。
英語を英語で理解する癖をつける
英語を英語で理解する癖をつければ、かなり英語力が伸びます。
わからない単語があれば、英英辞典で調べて意味を理解するなど、英語は英語で理解するようにしましょう。
海外ドラマを見る
休憩代わりに海外ドラマを見るようにすると、驚くくらい英語力が伸びます。
日本人同士で英語を話す最大のデメリットは、ネイティブが使う表現を身に着けづらいところです。海外ドラマをみて、フレーズをインプットすることで、ネイティブが使う表現や発音、イントネーションを身に着けることができます。
日本人同士で英語を話す方がネイティブと話すよりもいい3つの理由について
ヨーロッパの人が英語が堪能な理由は、英語に触れている時間が長く、アウトプット量が日本人よりも多いことです。
実際に、英語に触れている時間が長ければ長いほど、英語力が伸びるという研究がたくさんあります。
しかし、日本の英語教育では、英語に触れている時間がかなり短いという問題があります。さらに、その授業では、受験用の英語が教えられています。また、海外では主流なアクティブラーニングが取り入れられていないため、受け身で授業を受けてしまっています。
そこで、私は日本人同士で英語を話すことをお勧めします。その理由は、
- 言語能力の差を感じないから話しやすい
- 友達と会う頻度が高いから学習時間が増える
- わからないことは日本語で適切に理解できる
日本人同士で英語を話すのが恥ずかしい場合は、慣れで解決できますが、それでも躊躇してしまう場合は以下の方法をためしてください。
- 独り言
- 単語を覚える
- 文法をマスターする
- 英語を英語で理解する癖をつける
- 海外ドラマをみる
日本人同士で英語を話す方がネイティブと話すよりもいい3つの理由について書いたこの記事でわからないことや気になることがあれば、気軽に下のコメント欄から聞いてください!
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